抜けるような、という言葉がぴったりの青空だった。
初夏特有の、からっとした暑さも相まって相当に気持ちがいい。
待ち合わせまでは………既に5分ほど過ぎている。
まぁ、最初から時間通りに来るとは思っていなかったが。
しかし、何だ。
こう、目の前を明らかに恋人同士だと判る様な男女が何組も通り過ぎる中。
ひとりでこうしてると、まるでデートをすっぽかされたみたいだ。
………何を考えているんだろう、私は。
気分転換に、ポケットから煙草とライターを取り出す。
一本取り出して、咥えた所で―――
「相変わらず、ボーっとしてるわね?」
数年ぶりに会ったというのに、いきなりな挨拶どうも。
………それと、相変わらずなのはお互い様。
「まぁ、確かに………そう言えば、煙草吸ってるんだ?」
ん?
ああ、何となくね。
「一本貰える?」
無言で煙草を一本、差し出す。
カシャ、シュッ!
「ふぅ〜………」
紫煙を燻らし、彼女は私の隣に座る。
その距離も、昔と変わらないまま。
どんなに年月の隔たりがあっても、私達は変わっていない。
「さて、これからどうしますかね?」
最初の予定通り、母校訪問?
「お世話になった教師達に、お礼参りといきますか」
お礼参りって………。
「まぁ、細かいことは気にしない」
笑いながら、ふたり揃って立ち上がる。
「で、それが終わったら呑みに行こう。あなたと呑むのはこれが初めてだし」
了解。
お互い、色々と話もあるだろうし。
「そうだね。色々と………」
―――それじゃ、行こうか。
とりあえずは母校へ。
その後はお酒でも呑みながら、とことん話そう。
“Wiedersehen”geschlossen.